2012.02.29

サービスシューズのマニアックな話 その4 ~出会いと別れ編~

死ぬほど貴重で、たまらなく欲しくて、
でもそういうもんは自分のためにあるとは限らない。
今回は、前回ラストでちょろっと書いた、そんな残念な出会いと別れのお話。
続きは以下~




全国にその名を轟かせる高円寺の名店、SUNTRAP
そこのブログの1月13日のエントリーにそれはありました。


P1010469.jpg


まあ見ての通り、これは我が家で撮った写真。
結論から先に言うと、買っちゃったんです。

この手の黒いオックスフォード(紐靴)タイプのサービスシューズは
1940年代から90年代にかけて生産されたと言われています。
この写真のは40年代(推定44年製)のもの。
つまり、最古のモデルということになります。
そしてデッドストック。
ともなれば、どれくらい貴重であるか
この手の物に詳しくない方でも何となく想像はつくんではないでしょうか。

このエントリーを見たのは確か17日。
つまりその時点で投稿から既に4日経っているわけで、
もう売り切れてしまっているかも知れないと覚悟はしつつ
連絡を取ってみると、何と「ラス1です」とのこと。

(SUNTRAPが以前も40年代のデッドを仕入れていたことは
同店の過去のショッピングページで確認済みであり、
さらに今回はこの貴重な品を複数個確保できていたということで
そういう強力な仕入れルートを確保する能力こそが
名店たる所以なのだろうなぁと実感しました)

「二度とないかも」が意外と二度あったりするのがこの業界だというのは
もう古着にハマって長いんでまあ認識はしているんですが、
こいつに限っては流石にそんな悠長なことは言っていられない。
SUNTRAPさんも「多分最後になる」って言ってるんだから信じるしかない。
サイズは10Eで普通に考えればデカいんですが、
こういう昔の靴は基本作りが細かったりするし、
10Nが履ける俺なら問題なしとして購入手続き断行。
かなり高かったですが…

そして届いた実物は、まさに溜め息モンの代物でした。
年代によって様々に変遷を重ねるサービスシューズの中でも、
40年代ものは別格と呼べる存在感があるんです。

一つはこのラスト。

hikaku.jpg

上が以前購入した50年代の民生品、
そして下が今回の40年代。
ウィズが上はDで下はEであることを考慮しても、
ウエストのくびれがより強いことが分かります。
このケレン味が強くてセクシーなラストは、40年代にしか存在しないのです。

そしてもう一つは革質。

P1010526a.jpg

この写真で伝わるかなぁ。
少なくとも60年代後半からのサービスシューズでは
いわゆるガラスレザーと呼ばれる加工革が用いられ、あくまで実用性重視で
手入れして味が出るという感じの革ではなくなるのに対し
(ガラスはガラスで、皺が入ってソールが反ってきたあたりで
独特のかっこ良さが出てくるもんではあるんですが)
この年代のサービスシューズには、現代ではそうそうお目にかかれないレベルの
非常に肌理の細かいカーフレザーが用いられています。
履きこんだ後の表情が全然違ってくるんです。
良いものが当たり前に用いられていた時代の空気を
その身で表す証人とも呼べる存在なのです。


とまあ、とにかく良い物なんです。
なんでした。
が。


やっぱ。



やっぱね。










デカかったんだよ…orz


幅は大したことないんだけど、甲が明らかに高すぎたんですよ…
もう、ホンットに悔しくて悔しくて…
こんないいものを手に入れて、何としても自分で育てていきたいのに
履けないなんて…


やっぱ、俺はコレクターにはなれないなと。
ただ貴重だからって、履けない靴を置いといて我慢できるような人間じゃねえなと。
分かりました。
この靴見てて本当うっとりするんだけど、同じくらい悔しさが湧いてくるんですよ…
というわけで、重い腰を上げてネットオークションというものに手を出しました。
セカストに捨て値で売っぱらってしまえるほどこの子は安くない。
買値よりは安くしましたが、それでもこの子の価値に傷がつかない
最低限度の価格設定で出品しました。
そして幸いなことに、先日落札されました。
この子の価値が分かる人がいてよかった。
願わくば、サイズもぴったりで、手入れして末永く履いてもらえることを。


もう、この年代のデッドは見つからないかも知れない。
ましてや俺にぴったりのサイズなど。
それでも、一生かけて探すことにしました。
とりあえずユーズドでも何でも、サイズが合えば確保します。
そんな中で、奇跡のようにデッドがあればめっけもん。
今度こそ、俺のとこに来るべき子を探します。
つかの間の出会いと別れを胸に。
なんつって。

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