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2013.08.21

サービスシューズのマニアックな話 その7 ~あゝ麗しの大戦モデル編~


P1010075p.jpg


はい、来ました。
40年代。
第二次世界大戦当時のものです。
見ての通りユーズドですが、ようやく履けるサイズが見つかりました。
そんなわけで今回は、これの入手経緯と、
マニアックな話その4の補足としてこの年代のサービスシューズの
さらに詳細な特徴を書いていくことにしましょう。
続きは以下!
長いから覚悟しろよ!!



前回のサービスシューズの記事で「興味が移りつつあり」とか書いときながら
弟のところへ行くことになった50年代のやつの写真を撮ったりしてるうちに
「やっぱり40年代欲しいよなぁ…」という欲求がジワジワと湧いてきてしまい、
例によって「サービスシューズ(一週間以内)」で
つらつらとケンカツ(検索活動)を始めた俺ですが…
ある日iPhoneを見ていて、最初に目に飛び込んできたのがこの画像。


IMG_0675.jpg


この画像を見てピンと来るか来ないかで
サービスシューズ検定一級の合否が分かれてきますよ。
いつやるの?
いm(ry

…ポイントはシューレース。紐です。丸紐でなく平紐なところ。
平紐は官給品では、交換されてなければ40~50年代でしか見られません。
逆に民間品だとほぼ平紐しか見たことないんですけども。
そしていかにも古めかしいプリケツ感(踵の丸み)、
当時のラストならではのトゥのボリューム感。
ここでお店のブログに移動し、
該当記事の他の画像も見たところで40年代の品であることを確信。
(どの辺で確信したかは後述)
しかもサイズは9ハーフC。多分狭目だろうけどいけるはず!!
ようやく履けるやつを見つけた!!

でも…お高(ry
見た感じ状態もまずまずだし、サイズもいいとこだしきっと…
と思いつつ値段を見てみると


\10,500


\10,500!?
最低その倍くらいは覚悟してたのに!
となると何だか不安に。写真に写ってないだけでどっか状態に問題ありなのか?
いや、でもそれならブログに載せるだろうし…
そしてこの記事、8月8日…
これを見た日は16日。一週間以上前の入荷…
目ざとい連中も多いであろう東京は某シャレオツシティ、
売れちまってる可能性、かなり高いなー…。
さらにここ、ブログしかない上にメアドさえ書いてない。
また前みたく通販やってないパターンじゃないのか?
不安要素が次々と浮かび上がりましたが、ともかく連絡しないことには始まらない。
この時点でその日の営業時間は終了してしまっていたので、
そわそわしつつ翌日の夕方にようやく連絡。

「はい、○○○です」
「8日のブログのサービスシューズってまだありますか」
「ああ、60年代のですか?ありますよ」
「………」

まだあった。
そして、安い理由が分かった。
店主があんま分かってないパターンだ。
大方、シューレース脇ステッチ入りの6アイレットのレザーソールだから
60年代くらいだろう、年号書いてないけどそんなもんだべ…
みたいな感じで判断したのでしょうが。
違うんだ、そうじゃないんだよ…





「念のため確認させていただきたいんですけど、靴の中にNXSXって書いてますよね?」
「えーと…はい、書いてますね」


IMG_0690.jpg


このことはお店のブログ画像を見て知っていて、
そしてこれが40年代(大戦時)のものであると確信した理由。
ミリタリーもので年代判別の決め手となるコントラクトナンバーですが、
年号が書かれていない場合もあります。
しかし、第二次世界大戦時のものに関しては簡単に見分けることができます。
ポイントとなるのは「NXSX」これです。
これについては海外フォーラムのこの記事で詳細な調査がなされています。

http://www.usmilitariaforum.com/upgradetest/index.php?/topic/1590-us-navy-contracts/

要するに、
NXSXの「N」は「NAVY」を表し、
「XS」は全ての契約を監督する支給と勘定を担う部署のことを表し、
残り一文字は管轄を表し、これが何種類もあって
「X」だと支給と勘定になる…って、ようわからんすね。
英語得意な人は訳して下さい。
んで、NXSX表記は判明している範囲で1942年から使われているようで
その後の5桁の数字はシリアルナンバーみたいなもんらしく、
1945年のあたりで99999まで使い切ってしまい、
その後は大戦が終わるあたりまで「N5SX」表記が使われていたとか。
ご丁寧にシリアルと年号のリストまで出して下さっていて、
それに照らし合わせて判断すると今回のこれは
「NXSX 66626」なので、1944年の6~7月のあたりで会計されたものになります。

ともあれ、在庫はある。よろしい、ならば通販だ。
無理だと言われたらケツを差し出す覚悟で切り出す。

「通販オナシャス!何でもしますから!」
「ん?今何でもするって言ったよね?大丈夫ですよー」
「やったぜ。」

あっさりOK。何だか拍子抜け。
また前みたく誰かお使いに出すとかイヤだしさ。
その後平日を待って即振り込み、そわそわしつつ待機。
そして到着!

届いたものは、まあ何というか、
仮に60年代のものだったとしたら値段相応というか、
すごく悪くはないけどあんまり良くもないという感じのコンディション。
革が若干乾き気味。
お店で特に改めてメンテがされた様子もなし。
というわけで、古いクリームを落としてデリケートクリームで保湿して
コルドヌリアングレーズで磨き上げてこんな感じに!


P1010065s.jpg P1010070s.jpg
P1010069s.jpg P1010068s.jpg


やっぱいいなぁ。
40年代ものは5アイレットのもあるんですが
(かの有名なFlorsheimも当時はサービスシューズを作っていたんですが
俺がこれまで見た範囲ではFlorsheim製は5アイレットです)
やっぱりサービスシューズは6アイレットが格好良い。
この時代特有のくびれたラストがセクシー…エロい!

そのラスト(木型)ですけども、
俺がArchで聞いた話では「40年代ものはマンソンラストで作られている」
ということなのですが、俺はちょっと違うんじゃないかなと思っています。
マンソンラストというのは、1912年にマリリンマンソン博士という人が
陸軍歩兵部隊のブーツのために開発したラストで、
それまでブーツの履き心地の悪さに悩まされていた歩兵部隊が
このラストのお陰で快適に歩けるようになったという逸話があります。
詳しくはミリタリーショップMASHのこのへんのページを御覧下さい。
んで、そのマンソンラスト、「アーミーマンソンラスト」というくらいで
基本的にはアーミー(陸軍)の靴に採用されているのですが
そのアーミーとネイビー、USMC(アメリカ海兵隊)のそれぞれのブーツを
比較したコーナーが前述のMASHのページにありました。

http://www.mash-japan.co.jp/moc/collection/m-43_service_shoes/roughoutboots/index.html

トゥがぺったんこなのでまあ一概に俺のこの靴と比較はできないにしても
マンソンラスト(左側)はソール形状が大分違うことが分かると思います。
何かご飯をよそうしゃもじみたいな感じというか。
それに比べるとネイビーのものは大分尖っていることが分かります。

また、アメリカ古靴好きなら知らない人はいないであろう
超有名ショップ、SUPER8SHOESのブログに
(ここのブログ、超面白いので靴好きでない人も一度覗いてみるといいと思います)
1932年のネイビーラストというのが載っていまして、
これがまたいかにも40年代のラストにそっくり。

ということは、当時からマンソンラストとは別にネイビーラストがあって
40~60年代にかけて段々と形状が変化していったのだろうという
考えで間違いはないかと思います。

んで、あのANATOMICAもちょっと前に40年代のサービスシューズを
デッドで仕入れていたようなのですが
(ANATOMICA SAPPOROにもありますけど、以前にも言った理由か
もうサイズはデカいのしかありません)
ここでも40年代はマンソンラストだと言っていて、しかも
マンソンラストはALDENのモディファイドラストの原型になったとまで
言っていてもう訳が分かりません。
ALDENがマンソンラストを元にして作ったのは
379X(ミリタリーラスト)じゃないのか?
しかしながら、40年代のネイビーラストとモディファイドラストが
似ていることも確かだし、この辺は非常に謎が多いところです。


さて、大分話が逸れました。俺の靴!
ちょっと細かいディテールまで見ていきましょう。


IMG_0696s.jpg IMG_0703s.jpg


アウトソールとインソールに検査官の名前が入るのもこの年代の特徴。


IMG_0700s.jpg


このヒールパッチ、取れやすいんです。
ちゃんと残ってるってのは実にありがたい。


IMG_0702s.jpg


ダブルで二列に入る羽根下のステッチの間隔がずいぶん狭いです。
土踏まずの出し縫いはすげえ攻め込まれててほとんど見えません。
機械でやってるんでしょうけど大変そうだな。


P1010064s.jpg


やっぱり何たって素晴らしいのがこの革。
分かりますかね、この写真で。
乳化性クリームだけでこのビカビカ感。
皺の入り方でも質の良さが分かる人には分かっていただけるかと。
なかなか難しそうで自分では手を出してこなかった鏡面磨きも
これにはやってみたくなっちゃうなぁ。


そして何が一番いいかってね、これ、
サイズがピッタリなんですよ。

え?
そんなの最低条件だろって?

そうですよね、普通の人はそうなんでしょう。
でも俺の場合オタクなので、仕様とか年代とかそういうもんばっか重視して
肝心のサイズを軽視してきた傾向にありまして…
だからぶっちゃけ、これまでのサービスシューズって
何かしら履き心地に問題があったものばっかだったんですよ。
悲しいことに。
でもこれ、9ハーフだから長いかなとかくるぶし当たるかなとか
Cウィズだから狭いかなとか色々考えてたんですが、ぜ~んぜん。


IMG_0695.jpg


これモンですよ。
このただでさえ貴重な40年代がさらにピッタリだなんて!
順序逆だろうってツッコミは無しの方向で。
幸せですわぁ。


もうこの靴、70近くのおじいちゃんですが
まだまだ骨はしっかりしてるのでちゃんと歩けます。
こんな歳になって俺のとこに来てくれてありがとうございます。
これからもよろしく。
長生きしてね。


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この記事へのコメント
はじめまして。大変興味深く拝見しました。

Supplies and Accountsなどの大文字で始まるのは固有名詞になります。便宜的に、補給会計局と訳しましょうか。

NXSX 海軍の補給会計局の指示で補給会計局に納品
NXSA 海軍の補給会計局の指示で航空局に納品
NXSY 海軍の補給会計局の指示で造船局に納品

こんな感じです。一方で、補給会計局を通さずに各局が自前で調達した場合は、NOA NOY NOBS等になりますよ、と続いて解説されています。

マンソンとネイビー(マリーン)の比較はこちらが参考になりますよ。
http://archive.org/details/manualonfootcare00mann
http://ia600504.us.archive.org/BookReader/BookReaderImages.php?zip=/20/items/manualonfootcare00mann/manualonfootcare00mann_jp2.zip&file=manualonfootcare00mann_jp2/manualonfootcare00mann_0108.jp2&scale=3&rotate=0

PS
彼のタイトルのドクターはメディカルドクター(陸軍医)のことで、マンソン“博士”というのは誤訳と思われます。
Posted by べじたん at 2013.08.22 08:16 | 編集
うわ、べじたんさんだ!初めまして!
…いきなり変なこと言ってますが、私、N.O.S. w/boxさん(最近更新がなく寂しい限りです)とこのコメント欄でべじたんさんのことは一方的に存じ上げておりました。
私の貧相極まる語学力と浅薄な知識を訂正して下さって誠に有難うございます…。相変わらずの素晴らしい語学力と知識量、本当に頭が下がります。
そして、凄く重要な資料を提供していただいて有難うございます!やっぱり各軍ごとにそれぞれシルエットを変えてあるのですね。そのうち時間をかけてじっくり和訳して読んでみたいと思います。
べじたんさんのブログにもお邪魔致しました。ちょっと他に及ぶところが見当たらないくらいの革に関する情報量、圧巻です。継続して拝見させていただきます。
これからも何かしら乏しい知識で知ったかぶりを続けていくと思いますので、何かおかしな事を言い始めたら訂正して頂けると幸いです。
それでは失礼致します。
Posted by なおき at 2013.08.22 22:00 | 編集
こんばんは。N.O.S. w/boxさん、お元気だといいんですけどね。

こちらがマンソンの本で、new military lastと書かれています。上の本と同じく、パラパラめくって写真を見るだけで読んでいませんけどね。
http://archive.org/details/soldiersfootmili00muns
http://archive.org/stream/soldiersfootmili00muns#page/58/mode/2up

こちらの写真もなかなか。
http://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=uc1.b3244043

こちらは短いので、斜め読みはしました。
http://digital.library.unt.edu/ark:/67531/metadc6294/m1/

ところで、↓の靴の年代、見当つきます?(初版1927年、改訂版1952年なのですが、40年代の靴の写真なのか、50年代のなのかどうか?)
http://digital.library.unt.edu/ark:/67531/metadc6294/m1/10/sizes/xl/
Posted by べじたん at 2013.08.23 07:01 | 編集
ひゃー、軍隊のシューフィッティングにこんなマニュアルがあるんですねー。
考えてみれば、兵士の資本たる身体を支えるのは足でありそれを支えるのが靴である以上、厳格な規定があって然るべきなのかも知れませんね。

んで、この靴の年代ですけれども。
正直私の知識って資料に基づくもんではなく、古着屋さんのブログなんかをひたすら見漁って色んな画像とそのデータを記憶することによる積み重ねなので、あまり正確なことを申し上げることはできないのですが。
この手のアーミーの茶色いやつ(多分)は原宿のPUEBLOさんがよく仕入れていたので(最近は流石に枯渇してきたようでなかなか出てこないですが)ブログで色々見てみましたが、靴自体の形は40年代も50年代も大して変わらないので、ヒールに注目して探してみたところ、これが付いたブーツがありました。
http://ameblo.jp/pueblo/day-20071102.html
これはソール前半分が全部レザーの「TypeI」なので、1941年くらいまでのものになります。
なのでその辺かなーとも思ったのですが、その後で気付いたのが、本文中のスーパー8さんのリンク先にある50年のUSMCのにも似たようなのが付いてますね。
となるとこれもうわかんねえなってことになってしまいます…。
この写真から得られる情報では自分にはここまでが限度です、悪しからず。

しかしこの女性用のは面白いですね。
ヒールが高くて若干絞り込まれてて、パーフォレーションも入っていて…なんだけど全体の印象としてはやっぱり無骨という、軍モノのできる範囲内で精一杯オシャレしてみました!みたいな涙ぐましい努力が見えるというか…(笑)
Posted by なおき at 2013.08.23 21:43 | 編集
>これはソール前半分が全部レザーの「TypeI」なので、1941年くらいまでのものになります。

そうでしたか。基本的なこと押さえてなかったです。

>ヒールが高くて若干絞り込まれてて、パーフォレーションも入っていて

その婦人靴、戦中の靴かどうか定かではありませんが、英国では穴開け禁止令で、ブラインドブローグ(英名austerity brogue)が生まれたと言われていますね。
http://www.herringshoes.co.uk/product-info.php?&brandid=6&catid=50&shoeid=6252&selectedsizeid=7&selectedfitid=2&stype=1
http://the-last-shall-be-first.blogspot.com/2007/09/why-are-they-called-austerity-brogues.html
Posted by べじたん at 2013.08.24 08:42 | 編集
はー、なるほど。
俺も最初何でブローグを省くことが革の節約になるんだ?と思いましたが、穴に裏打ちする形で重ねる部分の革が不要になるから余計な面積を使わずに済むってことなんですね。
一方アメリカは、前述の女性用サービスシューズとか、M-42ブーツとかには普通に簡素ながらもブローグが入ってますね。
小さい穴だから裏打ちとかあまり気にしなかったのか、英国のようなレザーの使用制限がなかったってことなのでしょうかねぇ。
Posted by なおき at 2013.08.24 22:49 | 編集
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