2014.06.30

黄昏

まずはお知らせ。
右のリンク欄に、古靴関連ブログを大充実させました。
もし古靴に興味を持ってこのブログに来られた方がいれば
是非リンク欄から他のブログにも飛んでみて下さい。
探究心旺盛なブロガーさんたちによる、素晴らしい情報が満載のブログばかりです。
最近の古靴界隈の盛り上がりをさらに活性化させる一助となれば幸いです。

さて、今回の本題。
こんなはずじゃなかった…
けど、これもまた運命。
ってな感じの靴との出会い。


IMG_1825.jpg


続きは以下。



今回の品、例によってebayで見つけたもの。


$_12.jpg $_12 (1)


商品画像はこんな感じでした。
Florsheim、3アイレットのスプリットトゥ。
50年代後半から流行り始めたタイプのデザインですね。
正直なところ、この手のデザインってちょっと前までは
あまり好きではなかった感じのデザインなのです。
何か妙にフェミニンな感じがしちゃって。
それでもこれに目が行ったのは、まず値段でした。
何と15ドルスタート。
一応一人の入札は入っていましたが、そんなに競ってる様子もなし。
結構古そうな感じもあるし…
そんなことを考えていると、そんなに好きではなかったはずのデザインも
何だかだんだん魅力的に思えてきて。
軍パンとかにハズシで合わせたりすると面白いかもなーとか
色々な可能性が見えてきて、
送料も安いし、USPS直送だし、いっちょ入れてみっかってことで
まあ諸々考慮した上での限度額50ドルを
終了3時間前くらいに投入。
そこから様子を見て、動きも無いし行けるか?とか思ったら
案の定終了直前5分前くらいで釣り上がり、
結局ほぼ限度額の48ドルで落札。
正直もうちょい安く落としたかった…
まあそれがオークションなのでしゃあないですが。

送料21ドル74セントと合わせて支払いを済ませたら
発送自体は即行われたようなのですが、
到着までは何だかんだで9日かかりました。
仲介業者もいないはずなのにどこで引っかかってたのか…
まあ例によって関税もかからなかったですし、そこはまあ良し。
問題はここからなのでした。


IMG_1818.jpg


こんな感じで到着。
USPSの規定の箱なんでしょうかね。
緩衝材の発泡スチロールも入ってて、梱包はまあOK。
んで出してみたんですが


IMG_1821.jpg


これ…

状態、悪い。

(ちなみに紐がないのは明らかに長さのおかしい紐が付いていたため
速攻で取ってしまったため)


IMG_1820.jpg


表面には、無造作に塗られたクリームかワックスが
堆積して層を成してしまっているし、


IMG_1819.jpg


今にもインベスが飛び出してきそうなクラックがガッツリと。
ここが一番ひどかったですが、他にもあちこち。

はい、それではここで
この出品者のコンディションに関する表記を
もう一度見てみましょう。

“Make an Bid! This is a pre-owned, used pair of Florsheim Split Toe Blucher shoes in very good condition. Minimal creasing in the toe area and some wear to the sole at the ball of the foot; otherwise, in EXCELLENT condition. The heel, upper and lining are in near perfect condition.”

「ハッハー!入札しちまえよブラザー!
こいつは中古だが超サイコーのコンディション!
天下のフローシャイムのスプリットトゥ様の御成りだぁ!
つま先のあたりにはちょいとシワが入っちまってるのと
ソールのボールジョイントのあたりは割りと減っちまってるけど、
他はとにかくエークセレーン!!ハマタはどうだい?
ヒール、アッパー、ライニングなんてほぼパーフェクトだぜ!!」


20111208173152cfb.jpg


Are you fucking kidding me!!???

どぉぉぉぉぉぉぉぉこがパーフェクトなアッパーじゃゴルァァァ!!
シワどころかヒビ入りまくりじゃねえか!!
おめえの評価のハードルは幼稚園児用かぁ!?
ケツの穴から手ェ突っ込んで
奥歯チリコンカーン言わしたろかこのテキサス野郎がぁぁ!!


はぁ…
正直ショックでした。
開始価格は確かに安かったけど、それにしたって…。
考えてみれば写真がこんなに小さくて(上ので原寸大ね)
解像度も甘い時点でちょっと疑ってかかるべきだったのだ。
ヤフオクですらろくでもない出品者は多いのに
いわんやebayをや。(反語)
古くても状態の良いアッパーならそこからどんどん育っていくのに
これじゃそんなことは到底期待できない。
ゆるやかに終わりに向かっていくだけ。
正直ここですでに手放すことも頭をよぎりました…
が。

少し考えて、思い直しました。

この靴は、その生涯において黄昏の時期に
遠路はるばるこの日本にやって来たのだ。
それなりに愛を注がれながらも
馬車馬のように働いた若かりし日々を超えて
穏やかな余生を送るために俺の元へたどり着いたのだ。
この靴の最期を看取ることが、俺の役目だ。

というわけで。
お掃除開始。

とにもかくにもこの分厚くこびり付いた古いクリームを
落とさないことには始まらない。
まずはざっと濡れ雑巾で拭いた後に
ブートブラックのローションを布に取りひたすら拭きまくる。
今回は乳化性クリームもお掃除に活用。
乳化性クリームに含まれる溶剤の力で古いクリームを溶かし
さらにそれをローションで拭き取るという作戦を併用。
BGMにBABYMETALをセットし
「いいね!いいね!」と叫びながら
ヘドバンをぶちかましつつ拭いて拭いて拭きまくって…
(一部誇張表現が含まれております)





こんな感じになりました。


IMG_1823.jpg


正直もうちょいやりようはありそうな気もするんですが
体力の限界、気力も無くなりこのへんで一区切り。


IMG_1822.jpg


このシワの具合から
若かりし頃は素晴らしい革だったのだろうなということを
察して頂けるかと思います。
とはいえ現状がとんでもなく酷いというわけではなく
クラックは入ってしまっているものの革自体は柔らかく、
ちゃんとケアすればまだ寿命を延ばすことは可能な状況。
(タンのあたりは結構硬化しちゃってましたが)

ここからは栄養補給。
デリケートクリーム入れて、クリームナチュラーレ入れて。
んで一旦ローションでナチュラーレ落として、
最期にコルドヌリアングレーズの黒クリーム入れて、
こんなもんでどうでしょう。


IMG_1834.jpg


銀面が磨り減っちゃってるトゥのあたりとか
ワックスでポリッシュして保護したいなぁとか思いつつも
俺のケアの腕前ではできそうもなく断念。
まあ、何とかしばらくいけそうな感じには持っていけたかと。

きちんとグッドイヤー(多分)で作ってるアメリカ靴の割には
コバの張り出しを極力抑えてあってとても上品なデザイン。
裸足で履くのも良さそうですね。
ここらで各部の詳細。


IMG_1835.jpg IMG_1836.jpg IMG_1838.jpg


最近、色々なブロガーさん達が検証した情報を
europeanblendさんがまとめて最新版の年代査定基準
作って下さったのですが、それを元に考えれば
61年の10月製造のものであるかと思われます。
これ、色々探したんですがモデル名が分かりません。
どなたか資料があればご提供をお願い致します。


IMG_1837.jpg


スチールを打ってあるのは嬉しいところ。
ソールはそれなりに減ってますけど、これでしばらくは行けるでしょう。


デッドの古靴を現代の新品のように
1から育てていくのももちろん良いものですが、
こういうくたびれた靴を頑張って手入れして
長く履くというのも、むしろこちらの方が
古靴らしい楽しみ方と言えるのかも知れませんね。

それは
それと
してだ


今度からebayで買い物をするときは写真の解像度に十分気をつけ
良いコンディションであるかどうかをきちんと判断できるものにだけ
手を出すようにしようと思っております。
マジで。


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この記事へのコメント
今更ながら初めてコメント載せます、かやしまです!

Twitterで写真見た時はそこまで酷いコンディションなのかな?という感じもしたんですが色んな角度から改めて見ると、なかなかハードモードですね。。

出品者もちょっと悪質ですが、古靴を扱っているとどうしてもこういうコンディションの靴にあたってしまうこともありますし気を取り直して余生を見送ってあげましょう。

というか僕も最近ebay使ってみたいなーと検討しています。まずはクレジットカード作らないとですがw
Posted by かやしま at 2014.06.30 01:04 | 編集
お久しぶりです。リンクありがとうございます。

ebayにて私も同じような経験があります。商品説明には、グッドコンディション、パーフェクト、エクセレント等記載がありました。しかし現物は靴のタンはとれているし、致命的なクラックもありました。画像の解像度が低くクラックは判断できませんでした。この経験から怪しい物は入札を控えたり、質問したりしようと心掛けています。しかし、オークションという形式上つい入札してしまいます。難しいものですね…
Posted by 電池 at 2014.06.30 13:47 | 編集
なおきさん。こんにちは。tomoです。

はじめてコメントさせて頂きます。
もうちょっと気の利いたコメントができるようになってからと思ったのですが、自分も同じ被害にあった事があったので....
自分はフローシャイムのレギュラーライン(推定60年代?)でした。写真では暗く良く分からなかったのですが、届いてみるとクラックが大きく入っていて、さらに漂白剤がかかったような白い斑点がポツポツと。
気を取り直して、靴のキズを埋めるパテとキズ隠用の染料で1週間程、パテを塗っては乾かし塗っては乾かしを繰り返し、斑点状の箇所を染めて何とか見れるようにはなりました(笑)
7アイレットのペアで、磨くと凄くしっとりした艶が出るので、今は大切なコレクションの一つとなっています。
オークションとか手軽で便利なのですが、細部まで確認できないのが最大の難点ですね。特にebayは。


Posted by tomo at 2014.06.30 21:48 | 編集
>かやしまさん
いつもお世話になっております。コメントありがとうございます。
写真、屋外で撮ろうかと思ってたんですが色々やってたら結局夜になってしまい…明るいとこでみるともっとハードモードですw
まあこういうもんだと逆に気を使わず履けますね。適度に履いてゆったり過ごさせてあげようと思います。
ebayは面白いですよ。こういう体験も含めwハマりすぎには要注意ですが…

>電池さん
コメントありがとうございます。
タン取れてたって酷すぎますねw
今回は油断もあったんですよね。ここ最近とくにオークションの品で不満を抱いたことがなかったので、こういうもんも混じっているという意識に欠けてたんですね。品物をよくチェックするなんて当たり前のことなんですが…
これまで古靴には沢山の授業料を払ってきたので、今回もその一環ですね…。

>tomoさん
ようこそいらっしゃいました。コメントありがとうございます。これからもどうぞお気軽にコメント下さい。
クラックを埋めるパテなんてあるのですね。自分はそういうのには抵抗があるので多分このままですが…。
7アイレットのペアは自分は所有していないので憧れであります。アイレットの多いドレスシューズってすごく格好良いと思うのですよ。そのうち紹介して頂けると幸いです。
Posted by なおき at 2014.07.01 01:38 | 編集
こんばんは

お掃除お疲れさまでした。
あの状態でもここまで回復するものなんですね。
なおきさんの作戦成功と元々の革の良さがなせるものでしょうか。

ebay、まだ手を出ていませんがそのうち必ず出しますので用心しようと思います。
ヤフオクもしかりで、安さと珍しさでついポチってしまう前に、サイズと状態の吟味をしていきたいと思います。

florsheimのレギュラーラインも良さや情報が一気に周知されると競争が激しくなりそうですね。

blogにコメント頂いた件、喜んで是非お願い致します。
ゆっくりペースの更新ですが、今後ともよろしくお願い致します。
Posted by marumono at 2014.07.01 22:39 | 編集
>marumonoさん
いやー、正直この写真は良く写ってる感じなので。
実際はもっときっついです。
未だにポリッシュもうまく出来ないし、ケアの腕前がもうちょっと欲しいです…。

ebayは自動延長がないし、結構即決が多いのでヤフオクほど競争しないイメージですね。
60年代以降ならまだ安いのが多いですし、掘り出しモンはまだまだありますよ。何か見つけたらレポお願いします(笑)
Posted by なおき at 2014.07.03 23:33 | 編集
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