2018.03.31

一徹

誰かに薦める食い物屋と、自分が好きで通う食い物屋というのは
必ずしも一致するわけではないと思います。
誰かに紹介するなら間違いなく美味いと言わせたいし、
そう考えると穴が少なくどの要素も平均的に満足できるお店を選ぶことが多いと思います。
対して自分だけで食うお店なら、正直イマイチな要素があったとしても
この一点が好き!ってだけで通い続ける要因になったりします。
そんな、俺にとっての自分用のお店の代表格が狸小路7丁目のラーメン屋「一徹」。

ここは昔あった「富公」というラーメン屋が廃業した後に
その味に惚れ込んでいた現在の一徹の店主が、その味を受け継いで
店舗も引き継いで営業しているお店だそうです。
(もう一つその味を受け継いだお店があり、そこは「紫雲亭」といって
現在はテレビ塔の地下で営業しているようですが行ったことはありません。
行かなきゃなーとは思っているのですが…)

その成り立ち故に、店構えはとにかく古いし、店内も薄暗くて
一見さんは連れて行きにくい。
それが「自分用」である一つ目の理由。





こちらが一徹のラーメンですが、
所謂近年の、丼の隅から隅までこだわり抜いた意識高い系ラーメンとは
土俵の違うラーメンであると個人的には感じています。
具体的には、具にはそんなに熱意が感じられないのです。
チャーシューは硬くてパサパサしており、メンマもやや味気なく
この辺は言っちゃ悪いけど形式的なものとして乗せている感じがします。
こういうとこが「自分用」であるもう一つの理由。

しかしそういう微妙さを補って余りあるのが、ここのスープの魅力。
店主は昔ホテルのシェフであったようで、
洋食のスープの手法を活かして取っているらしい豚骨のスープは
コクがしっかり出ているのに臭みはありません。
さらに、札幌ラーメンの伝統的な手法である、中華鍋でスープを完成させる方式。
ラードで玉ねぎ、もやし、ニンニクを炒めてそこにスープを注ぎ
炒め野菜の香ばしさがスープに加わるわけですが、
その際天井近くまで上がる大きな炎がこの店の代名詞。
画像のラーメンは塩ラーメンなのですが、
褐色がかっているのは強い火力で炒めたラードのせいです。

そうして出来上がった一徹のスープは、
他ではなかなか味わうことのできないパワー感に溢れています。
化学調味料も結構入ってますが、それもパワー感の一助と考えればまあアリ(笑)
その強さに殴られる感覚を味わいたくて、俺はつい一徹に足を運んでしまうわけです。
また、一般的な札幌ラーメンは加水率高めのプリプリした黄色い麺ですが
ここの麺は旭川ラーメンにやや近いような加水率若干低めの麺で
それがまたスープとの相性が良いのです。

そう考えると、具が無個性なのも敢えてのような気がしてきます。
無いと寂しいけどあくまで脇役に徹してもらう。
うちはスープと麺という土台の強さで勝負する。
そういう意志の表れなのかも知れません。

頑固一徹の職人が作る、やや歪ながらも力強いラーメン。
誰にでもお薦めできるわけではないけれど、
気が向いたらいっぺん殴られてきてみて欲しい一杯です。

あと、ここってラーメン食うだけじゃ魅力は半分しか分からないんですよ。
昼はラーメンのみですが、夜は、かの「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された
ラーメンも食える居酒屋になるのです。
洋食シェフ経験から生み出される羊の洋風スジ煮込みやチャーシューオムレツなど
ここでしか食えないメニューが色々あります。
(例によって下戸なのでほとんど手を出していないのですが)
閉店時間の割にラストオーダーが早くて若干使いづらいのが難点ですが、
そちらも興味あれば是非に。

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